はじめに:オフィスチェアで固まった腰で、夢が追えるか?
今日も大阪のオフィスで8時間、PC画面と睨めっこ。 夕方になると腰が重く、肩はガチガチ。駅の階段ですら、エスカレーターを探してしまう自分がいませんか?
私はふと恐怖を感じます。 「この体のまま定年を迎えて、本当に憧れの田舎暮らしができるのか?」
田舎暮らしの雑誌には、笑顔で畑仕事をするシニアが載っています。しかし、その笑顔の裏には、今の私たちが想像する以上の「基礎体力」があることを、私たちは見落としています。
今日は、お金(金融資産)よりも減るのが早い、**「健康資産」**について話をさせてください。
1. お金は「複利」で増えるが、体は「減価償却」する
定年まで会社に残る最大のメリットは、退職金や年金が増えること(金融資産の最大化)です。 しかし、その間に確実に目減りしていくのが「健康資産」です。
- 金融資産: 寝かせておけば増える可能性がある。
- 健康資産: 何もしなければ、毎年1%ずつ筋肉量は減っていく。
残酷な真実ですが、「65歳の自分」は「今の自分」よりも確実に弱っています。 「定年したら時間ができるから、そこから体力をつけよう」というのは、エンジンの壊れかけた車で高速道路に乗るようなもの。
**「一番若くて体力があるのは、今この瞬間」**なのです。これが、私が早期移住を焦る最大の理由です。
2. 田舎が求めているのは「ジムの筋肉」ではない
「私、週末にジムに通ってるから大丈夫」 そう思っているなら要注意です。田舎暮らしで求められるのは、ベンチプレスを上げるパワーではなく、**「地味でタフな持続力」**です。
実際に田舎体験をして痛感した「必要な動き」はこれです。
繊細な指先の力 ロープを結ぶ、小さな種をまく、道具を修理する。老眼と指先の震えは、田舎暮らしの最大の敵です。
「しゃがむ・立つ」の無限ループ 草むしりや農作業は、スクワットの連続です。今の膝と腰で、1時間耐えられますか?
不安定な足場でのバランス感覚 コンクリートで舗装された道ばかりではありません。あぜ道、斜面、砂利道。体幹が弱っていると、転倒=骨折=即終了のリスクがあります。
3. 「健康寿命」という冷徹なタイムリミット
ここで少し怖い数字を出します。 厚生労働省のデータによると、日本人の**「健康寿命(介護なしで自立して生活できる期間)」**は、男性で約72歳です。
- 65歳で定年退職した場合: 元気に田舎暮らしを楽しめるのは、72歳までの**「わずか7年間」**。
- 55歳で早期移住した場合: 健康寿命まで**「17年間」**のゴールデンタイムがある。
この「10年の差」は、お金には代えられません。 75歳、80歳になって資産が残っていても、体が動かなければ、広い古民家はただの「管理しきれない重荷」に変わります。 私たちは、「平均寿命」ではなく「健康寿命」から逆算して、移住のタイミングを決めるべきなのです。
4. 今すぐできる「田舎仕様」の体作り
脅すようなことばかり書きましたが、諦めるのはまだ早いです。 大阪にいる今からでも、「健康資産の目減り」を食い止める投資はできます。
- エスカレーター断ち 基本中の基本ですが、足腰(特に大腿四頭筋)こそが田舎暮らしのエンジンです。駅の階段は「無料のトレーニング場」です。
- 「和式トイレ」的な動きを取り入れる 股関節の柔軟性が失われると、畑仕事ができなくなります。深くしゃがむストレッチや、四股(しこ)踏みを日課にしましょう。
- 歯のメンテナンスを完了させる 田舎には良い歯医者が少ない(または遠い)ことが多いです。そして、歯の健康は食事の楽しみに直結します。インプラントや治療は、都会にいるうちに済ませるのが鉄則です。
おわりに:動けるうちに、その景色を見に行こう
私は、大金持ちの寝たきり老人よりも、 多少貧乏でも、自分の足で山を歩き、自分の歯で採れたて野菜を噛み締められる老人になりたい。
そう思うと、**「退職金が減るから辞められない」**という悩みが、少し小さく見えてきませんか?
お金の計算も大事ですが、一度、鏡の前で片足立ちをしてみてください。 もしふらつくようなら、投資すべきは株ではなく、スクワットかもしれません。
動ける体があるうちに、夢の場所へ。 それが、アラフィフの私たちが選ぶべき「一番賢い投資」なのだと信じています。
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